水道事業は、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与すること(水道法第1条)」を目的とし、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない(地方公営企業法第3条)」という基本原則に基づく地方公営企業です。
地方公営企業法には、事業を運営するにあたり以下のような原則が規定されています。
- 独立採算制の原則(地方公営企業法第17条の2第2項)
企業運営に要する経費は「当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てなければならない」とされています。これは水道事業が、税金によらず水道料金などによって運営されなければならないというものです。
- 経費負担の原則(地方公営企業法第17条の2第1項)
上記「独立採算制の原則」のほかに、「経費負担の原則」として、「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」などがあり、これらについては税金で賄うこととなっています。水道事業では、消火栓の設置や維持管理などの消防に要する経費や、公園などの公共施設に設置する水道に必要な経費などがこれに該当します。
- 公正妥当な料金の設定(地方公営企業法第21条)
受益者負担である水道料金は、「公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるもの」でなければならないとされています。
また、水道法第14条においても、料金が「適正な原価に照らし公正妥当なものであること」、「定率又は定額をもつて明確に定められていること」、「特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと」等を供給規程に定めなければならないことが規定されています。
「水道事業運営について」に記載された原則に基づき、全国の水道事業体各々がその事業運営に沿った水道料金の設定を行います。水道料金は、水源の状況や人口分布、需要構造(例えば、一般家庭が多い地域か、工場などが多い地域か)など地理的・社会的条件、さらに水道施設やサービスの形態により、水道事業体ごとに異なります。
それでは、その水道料金はどのように決定されているのでしょうか。水道料金の算定については、(公社)日本水道協会が発行する「水道料金算定要領」を多くの事業体が参考としており、坂戸、鶴ヶ島水道企業団もこの要領に沿って料金算定を行っています。
具体的には、まず、料金算定期間を決定し、水需要など業務量の見込みを立て、その前提条件に基づく水道事業の経営計画を立てます。この計画には、安全で安定した水の供給が行なえるよう、施設の修繕計画及び建設改良計画、委託業務計画、人員計画などが含まれます。
次に、財政収支計画から料金算定の基礎となる費用を積算し、料金水準を決定します。ここでは、水道料金に求められる「能率的な経営の下における適正な原価」を算出し、水道事業の「健全な運営を確保」できるよう、施設の計画的な改修・更新等に必要となる費用(資産維持費)を算出します。これらの費用を合わせて「総括原価」といい、この総額が料金収入の総額と一致するように料金を設定する必要があります。
料金水準となる総括原価が確定すれば、次に料金体系を選択し、個別原価主義(※)に基づき料金を決定することになります。
一般的に水道料金は、水道の使用水量の多少に関係なく、水道を利用可能な状態に保つための経費として負担していただく「基本料金」と、使用した水量に応じて必要となる原価を負担してもらう「従量料金」から構成される「二部料金制」を採用しています。また、水道を「何に使うか」という目的別に料金を設定する方法(用途別料金体系)と、「一度にどのくらい使えるか」という給水管の口径の違いによって設定する方法(口径別料金体系)に大別されます。基本となる料金体系を決定し、「総括原価」を性質ごとに区分した上で、各使用者群や使用水量へ配分することで、水道料金が算定されます。
※個別原価主義・・・料金を、個々のサービスの供給に必要な原価に基づいて設定しようとする考え方。
「坂戸、鶴ヶ島水道企業団の水道料金について」は、こちらをご覧ください。
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